苦味を味わう
久しぶりに "めざし" を食べた。
若い頃には旨さの欠片も感じられなかったおかずであるが、旨さを感じるような歳になった証拠だろう。苦味がなんとも良い。
しかし、このめざし。
目に串のようなものは通っておらず、これはめざしと言えるものなのだろうか?と考えてしまった。
"目刺し" と書くわけだから、何も刺してなければ "イワシの干物" ということだろうか?
まあいい。
作業工程が変わってしまい、きっと機械的な作業になっているのだろう。
それでも素朴な味は変わっていない。
ワタの苦味は子供の頃には食えたものではなかったが、今ではなんとも良いアクセントに感じる。
少し気の早い話にはなるが。春の味覚も苦味のあるものが多い。
フキやゼンマイなんてものもクセのある食べ物だが、ようやく春の味覚を楽しめるような歳になったと思えば、歳をとるのも案外悪くないものだと思う。
かき込むように食べていた頃と違って、味わいを、風味を楽しみながら。