行間のないメディア
マスメディアというのはどうにも「行間」というものが苦手なメディアらしく、少しの間さえ何らかのモノでその間を埋めてしまいたいらしい。
会話。音楽。効果音。テロップなど、ありとあらゆるモノを詰め込みたがる。
活字を使う媒体は行間が存在していて、受け手がそれぞれの間を持って読み、考え、思い返すことが自由にできる。
一旦その場に踏みとどまって、自分の思考に思いを巡らせる。
考えを書き出す。繋げる。展開させる。まとめるなど、その内容についてじっくりと吟味することができる。
特にTVを見ていて感じることは、自分が一方的に情報の流れに呑まれてしまい、ちょっとした考える間さえも与えられていないこと。
ある種のstreamingサービスであれば一時停止させておいて、自らが間を作ることもできる。
TVというメディアは違う。
次から次へと一方的に情報を流し続けているので、ある瞬間から頭は考えることを放棄してしまう。
考えてても仕方がないことに慣らされているようにさえ感じる。
TVが意図的にやっているかどうかは知るところではないが、TVというメディアの特性上、結果的にそういう媒体になってしまっただけなのかもしれないが。
とにかく自分の間が取れないメディアというものは疲れてしまう。
昔は時間がゆっくりと流れていた。
今はとにかく時間が無い人が多い。
間のないメディアに自分の歩調を乱されて、自覚のないままに生活しているのではないだろうか。