お不動さん
ナビの案内に従い、狭い住宅地を抜けると、ぱっと視界が開けて駐車場が姿を現す。
本来はこちら側の道ではなかったようで、表側の道はずっと広かった。
どうもナビゲーションシステムというものは、こういった辺鄙な場所を案内する傾向があるように感じる。
まあいい。
駐車場に立ててある案内板を見ると、ここから徒歩で2分程度で本堂が在るようだ。
入口の看板に「境内に駐車場あり」の文字が。
門の横に自動車が侵入できる坂があり、そこから境内へ入れるようだ。
私が訪れたときも自動車のお祓いやら何やら、次から次に参拝者がやってくる。平日の昼日中なのに。である。
「よほど人気があるんだな」
他にも赤ちゃんを連れた人。
お婆さんを支えながら訪れる人。
若いカップルらしき二人などなど、ほんとうに様々な人が入れ替わり立ち代わりにやってくる。
何かの奉りをやっているわけではなくて、本当にだたの平日なのにだ。
よほど有名な場所なのだと、改めて思う。
最初はお賽銭箱の前で手を合わせて帰るつもりだったが、どうも来る人来る人が気軽に拝殿に上がって行って、願い事を紙に書いたり、御札を買ったりしている。
その様子を見ていて、私も上がらせてもらうことにした。
拝殿に入ると、なんだか空気が暖かく感じる。
普通こういう空間に入ると、空気がひんやりとしていたり、引き締まったような印象を受けるようなものだが、なぜだかこの場の空気は暖かく感じられた。
それに呼吸がしやすい。
自然と深呼吸するような感じになる。
全身の何かを入れ替えでもしているみたいに、その場の空気をカラダ全体に行き渡らせる。
とても呼吸がやりやすい。
故意にリラックスしようとしているわけではなく、自然とリラックスできる流れに導かれていたのかもしれない。思い返すとそんな風にも思う。
なんとなくの流れでご祈祷まで受けることになったが、その間も心地よく、なんとも言えない安らぎがあったように思う。
世の中に様々なリラクゼーションやリフレッシュの方法があるが、たまにはこういうのも悪くない。
そう思った。