布団カバー
布団カバーを被せるなんて慣れていないものだから、どこが上だか下だかわからなくなる。
これでできたと持ち上げてみると、見事に中で布団が捻れている。
どうもこの作業は面倒に感じるせいか、余計に慣れない。
天気が良い内に片付けられることは片付けておいて、少しでも年末のドタバタを解消しておきたい。
昔は3世帯が当たり前で、大掃除なんかも家族がそれぞれに分担してやっていたものだ。
田舎は土地が広いものだから、今ではそれぞれの世帯が分かれて住むのも珍しくない。親の家がある敷地の中に、子供夫婦の家が建っているようなかたちだ。
遠く離れて暮らすわけでもないから、顔を見ようと思えばすぐに会える。
人間なんてしょっちゅう顔を突き合わせていれば、ぶつかることだって増える。
精神的なゆとりを保つということでは、同じ敷地で別棟で暮らすのも悪くないことなのかもしれない。
― まだ本格的に年末の雰囲気は感じない。
そもそも、年末年始もコンビニは空いているし、スーパーは元日から営業している。
電子マネーで支払いができるものだから、年末に慌ててお金を引き出しておく必要もなくなった。
おせち料理は本来の意味での必要はなくなり、正月のお飾りのような物になってしまった。
どことなく変わってしまった年末年始の味気無さを感じながら、カバーの中で捻れた布団と格闘する。