急かせる
世の中なんだかスピードが求められていて、早いものが良いものだとされているように見える。
なにかと時短術のようなものが取り沙汰され、手間暇というものはなにか時代遅れのもののように扱われる。
移動にもとにかくスピードが求められ、物流だってそうだ。
あんまり早さを求めているばかりで、なにかがその隙間からこぼれたり、置き去りにされているのを見ていない気がする。
本当は皆が薄々は感じていることなのに。
手早く物事が片付いてゆく様は、見ていてもエネルギーに溢れているようだし、仕事をしたという気にもなれる。
でもね。
そんなにエネルギーを使わなければならないことなのかい。
別に近代化を否定したいわけじゃないんだ。原始に戻れというつもりもない。
ただね、あまりにパワフルに物事が動きすぎていて、人間も生き物だっていうことを時々忘れているんじゃないかと思うわけさ。
文明。特にコンピューターなんかは物凄いスピードで進化しているし、衣食住の進歩だって凄い。
それに人間の気持ちがどうもついて行けてないような気がする。
ちょっと一息入れる時間にしたって、あっという間に飲み物が出てきて終わり。急いでそれを体に流し込んでいるだけで、気持ちは本当に一息つけているのかな。
カタチだけのブレイクタイム。
休息には息が含まれているけれど、息をつく間もないくらいのブレイクタイムなんて、心は一息つけているのかなと心配になる。
ストレスは色んな病気や不調の原因だと言われている。
対するグッズや方法なんかは次から次へと登場してくるけれど、なんだか世の中せわしなくて落ち着かない。
ストレスを解消するための時間をつくるのに忙しく動きまわるなんて、なんだかおかしなことをやっている。
子どもの頃には時間を忘れて遊んでいたけれど、ああいう時間を大人になった今でも忘れていない人は、一体どれほどいるだろう。