自分のことは見えない
ある俳優の方がラジオ番組で、過去の出演作について語っていた。
正確には覚えていないが、たいだいの内容はこうだった。
「こんな作品(ドラマ)が当たるわけねーじゃん」
「何なんだ。この演出は」
不満タラタラでやっておられたそうで、まったく手応えというものを感じない。
いざ放送となるとドラマは大ヒット。
ふだんは全く仕事に無関心な家族もドラマで号泣。
事務所の受付の女性も号泣。
ものすごく大雑把に書くとそのような話だったと思う。
私も視聴していた一人であったが、夢中で見ていた覚えがある。
「ぼくは死にません」
この一言のセリフでわかる人にはわかるドラマ。
それほど当時は話題になったドラマ。
それがである。
当の本人が全く乗る気じゃなかった。そういうエピソードを本人が語られているのを聞いて、「自分のことは見えないものなんだなぁ」とつくづく思ったものだ。
他にもこの手の話は多くて、自分ではダメだと思い込んでいるものだったり、日本では全く受けなかったが、外国に渡ったら絶賛されたなど。視点や時代が変わると評価も変わる。そういう話は以外に多い。
― 自分の書いているもの
だから自分の書いているものにリアクションがあると、素直に嬉しい気持ちと、「アレはあんまり・・どうかなぁ」と思うこともある。
自分も感情も大切ではあるが、評価というものは他人からされるもの。
できが悪いからと消してしまうのは簡単だが、それはあくまで”今”の自分が感じていることだ。
5年後の自分が読んだら?
10年後だったら?
そう考えると「残しておくのも悪くないか・・」と、思えてくる。