月は見えるか?
母親と近所に住む叔母が電話会談をしている。
何やら「月がどうこう」と言っているので、皆既月食の話だろうということはわかった。
わかったのだが、どうも話が微妙におかしい。
皆既月食は明日なのだが、どうやら今日がその皆既月食だと思い込んで話しているようだ。
その上に天王星食の話が混ざっているものだから、「400年ぶりの珍しい月食が起こるらしい」という話になっている。
電話が終わったタイミングを見て、月食は明日の晩であることと、400年ぶりに起こる天体ショーは月食のことではなく、天王星食のことであることを伝えた。
「まぁ、おばさんの話なんてそんなもんよ」
そう言うと叔母に電話を掛け直して、月食が明日であることを伝え始めた。天王星食のことは、どうもよく理解できなかったようだ。
確かに天体ショーの話を正確に理解できなくても生活に支障はない。
それくらいのアバウトな感覚で生きているほうが、きっと長生きできるのだと思う。